2020/06/07 (更新日:2022/12/27)

股関節の病気①

股関節痛

股関節の病気

股関節の病気をあげてみると色々な病気があります。
大きく2つに分けて表示すると

「小児」

先天性股関節脱臼、ペルテス病、単純性股関節炎、大腿骨頭すべり症、化膿性股関節炎、成長痛

 「成人」

変形性股関節症(一次性、二次性)、特発性大腿骨頭壊死症、大腿骨頚部骨折、滑液包炎、特発性一過性大腿骨頭萎縮症、化膿性股関節炎(細菌性、結核性)、

など様々なものがあります。

正直聞きなれない病名もありますよね。あまり難しい病名について説明してもピーンと来ないと思うので、この中でも成人に多い病気についてお話していきたいと思います。

成人で多い病気は圧倒的に変形性股関節症で、次に大腿骨頭壊死症、さらに高齢になると大腿骨頚部骨折となります。それではこの3つの病気のうちまずは、変形性股関節症とそれに関連する先天性股関節脱臼について説明していきましょう。

変形性股関節症


股関節を形成する大腿骨骨頭(ももの骨)と寛骨臼(骨盤)(赤丸の部分)の骨同士がお互いぶつかるようになり、股関節が変形してしまう病気になります。

大腿骨頭と寛骨臼のクッションである関節軟骨が次第にすり減り、骨と骨が直接ぶつかるようになり、骨の変形がおこり痛みや機能障害がおきてきます。

関節軟骨の老化は人種、性別、肥満、遺伝などに機械的な負荷(運動、外傷、職業など)が加わり発生します。

好発年齢は50代の女性に多く、男性より圧倒的に女性が多いです。

症状を3段階に分けると

初期:軽い痛み

関節軟骨が傷つき、関節の隙間が狭くなってきます。長時間の歩きや運動後に痛みを感じたり、股関節だけでなく、おしり、もも、膝などが痛むようになってきます。

進行期:慢性的な痛み

関節軟骨が広い範囲で傷ついて関節の隙間がはっきりと狭くなります。レントゲン検査をすると骨棘(ほねのとげ)などがはっきりとみてとれるようになります。
股関節の可動域が狭くなり、筋力低下が進み、慢性的に痛み、歩行障害が出てきます。

末期:強い慢性的な痛み

関節軟骨がほとんどなくなるので、関節の隙間がなくなります。レントゲン検査をすると股関節の著しい変形がみてとれるようになります。安静時痛、夜間痛、股関節の可動域がさらに低下、筋力低下もすすみ、歩くことが困難になってきます。また左右の足の長さの差やトレンデレンブルグ徴候を伴った跛行(びっこ)がみられます。

トレンデレンブルグ徴候
悪い側の片足で立った時、反対の健側の骨盤が下がる現象。

トレンデレンブルグ歩行
歩行時に悪い側に体重をかけた時に、反対の健側の骨盤(臀部)を落とすような歩行

整形外科的治療としては、初期は体重のコントロールや痛み止めなどで保存療法が第一選択になるかと思います。進行期以降は症状がひどければ手術が選択肢に入ってきます。

「参考」
原疾患(他の股関節疾患)があり、それにより引き起こされた股関節症のことを二次性変形性股関節症といい、原疾患がわからない股関節症のことを一次性変形性股関節症という。
日本では二次性変形性股関節症が多く、原疾患として先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全、ペルテス病、大腿骨頭壊死症、骨端線離開、外傷(大腿骨頚部骨折、股関節脱臼)などがある

ここで変形性股関節症の原因となりやすい、小児の頃に発症する先天性股関節脱臼についてもまとめておきますので、是非、参考にしてみて下さい。

先天性股関節脱臼


簡単に言えば股関節である赤丸の部分が正常より離れている状態のことになります。

大腿骨頭(ももの骨)が完全に臼蓋(骨盤)からはずれている状態=脱臼、はずれかかっている状態=亜脱臼、大腿骨頭の位置はいいが骨盤の臼蓋の発達がわるい状態=臼蓋形成不全となります。

先天的に脱臼している状態だけでなく、色々な先天性の原因により出生時に股関節が脱臼しやすい状態にあるもの(脱臼準備状態)、それに伴って起こった出生前及び出生後の変形の全てを含んだ状態のことを指しています。

原因としては関節包の弛緩や靭帯の延長化などではないかといわれいますが、よくわかっていません。

発症率は人種的な差があり、同じ東洋人でも日本人に多く中国人には少ない傾向にあります。日本は以前、脱臼大国と言われていましたが、最近は出生後のケアが徹底されるようになり発症率は下がっています。だいたい発症率は0.1~0.3%(1000人に1-3人)ぐらいで、女の子は男子の5~7倍も高いのが特徴です。

診断としては新生児、乳幼児ではクリックサイン(股関節の屈曲(膝を抱える動作)、外転(足を横にひらく動作)に際して雑音を感じる。脱臼大腿骨頭が臼蓋とぶつかる音)でよく発見されます。股関節の開排制限(あぐらのように開く姿勢)も特徴的です。また完全脱臼していると逆に開きすぎる傾向になり注意が必要です。

補助的な診断方法として、大腿部(もも)のしわの左右差、仰臥位(あおむけ)での股関節中等度屈曲、膝関節90°屈曲位での両膝の高さの違い(脱臼側が短くみえる)も診断に使えます。

生後1ヶ月までは自然治癒することも多いので、特別な治療を行わない施設が多いみたいです。しかし1ケ月をすぎても明らかな脱臼が認められる場合はリーメンビューゲルという装具を装着し、整復を目指していき、多くの症例は約1ケ月程度で整復され安定化します。
この装具は生後6か月を過ぎると整復率が下がり、1歳以上の場合は使用が困難になります。

もし装具で整復が保持されない時は持続牽引を行い、これでもダメなら手術を用いての整復となります。

「育児での注意点」

無理に股関節を引っ張らない、体操しましょと股関節を強制的にのばすのも危険です。またおむつや洋服で股関節の動きを妨げないようにすることが重要で、洋服が厚くなる冬に出生した赤ちゃんに脱臼が多いという事実もあります。

おむつはサイド部分の幅が狭いものを選び、横からきつく締めないように します。また向きぐせがあると、赤ちゃんの原始反射(無意識に起こる行動)のためか、向きぐせ側と反対の股関節の開きが 硬くなる事が多くあります。出生後はなるべく両方を向かせるようにしましょう。

 

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