2017/08/18 (更新日:2022/12/07)

腰椎椎間板ヘルニアについて

腰椎椎間板ヘルニア・坐骨神経痛, 腰痛

以前、腰痛+下肢痛がある病気でお伝えした内容と重複する部分もありますが、さらに掘り下げていきたいと思います。当院でも来院される方が多く、自分の疾患をしっかり認識し、正しく対処してほしいためにお話させて頂きます。

腰椎椎間板ヘルニアは、多くは20代から30代の若い世代に多くかかる疾患で、腰痛+片側の坐骨神経痛を伴うことが多いのが特徴です。ほとんどの腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の前屈で痛みが増強する前屈障害性腰痛に含まれます。(一部には後屈障害もあります)
椎骨よ椎間板

腰椎椎間板ヘルニアとは、多くは椎間板(上の図青い部分)の外側の線維輪が断裂し、中身となる髄核、あるいは線維輪などの椎間板組織の一部が、椎間板から脊柱管内に突出して、神経根または馬尾神経を圧迫し、下肢痛などの神経症状をきたします。なお線維輪がどうして断裂するかについては、正確にはわかっていません。

原因としては、椎間板の老化、椎間板の遺伝的な体質、長期間の腰椎の酷使などが考えられます。 この疾患は、ヘルニアの脱出の程度、脱出の部位、傷害された神経根の状態、年齢などによって様々な症状を示します。

症状も幅があり、腰部や下肢に立ったり、歩いたりできないような激しい痛みがあるものから、普通の状態では痛みはないが、腰を前に曲げると痛いなど様々です。 腰部のヘルニアでは、第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板、第5腰椎と仙骨の間の椎間板、この2か所でおこる率が8~9割と非常に高いです。


簡単な腰の神経根障害の検査

SLRテスト(straight leg raizing)下肢伸展挙上テスト ベッドに仰向けでねて、足をのばしたまま、他動的に足を上げていきます。 足をのばしたまま上げると、坐骨神経が伸ばされ、障害がある人は途中で足に痛みやしびれが出てきます。


椎間板ヘルニアの神経根症状の重症度

grade1:足や臀部にしびれや感覚麻痺などがある。排尿・排便障害
grade2:痛みがひどく、自分で立ったり、歩いたりできない
grade3:腰や足が痛く歩きづらい、また長時間歩けない
grade4:腰や足が痛いが、歩くことはできる
grade5:腰を前に曲げると痛く、普段は足に痛みがない
*gradeが低いほど重症であることを示しています。


手術を行う必要がある場合について

椎間板ヘルニアで手術をするかしないかの見極めは難しいですが、手術を急ぐ必要のあるケースもあります。 これは重度の馬尾障害があり、大きなヘルニアが膀胱の機能を支配する馬尾神経を圧迫しているために、排便・排尿ができなくなっているものです。さらに性的不能の心配もあるので深刻なケースです。

次に、下肢に高度の麻痺があり、足首や足の指に脱力が起こっているときです。 足首も足の指もだらりと下がったままで、自分で上にあげることができない場合です。これを下垂足といいます。これらの場合は手術を考慮する必要があります。  

発症のきっかけ

日常生活での動作やスポーツがきっかけとなり、椎間板ヘルニアを発症することが多いですが、とくにきっかけもなく徐々に発症する例もあります。 発症パターンとしては、まず腰が痛いだけの腰痛になり、次第に下肢痛を伴うようになって、ついには椎間板ヘルニアと診断されます。

原因について

椎間板ヘルニアの起こる直接の原因は、椎間板組織が椎間板の外に膨れだしたり、脱出したりすることによります。 なぜそうなるのでしょうか?
椎骨よ椎間板

(椎骨(背骨)を上からみた状態で、上が腹側、下が背中側になりブルーの部分が椎間板です)
椎間板は老化しやすく、20歳ごろには椎間板の髄核の水分が減り始めます。 また30歳ごろから椎間板のまわりの線維輪の水分も減りはじめ、椎間板の弾力がなくなってきます。 これが椎間板の老化です。

一方、繊維輪は前方(腹側)に厚く、後方(背側)に薄い構造であり、とくに脊椎の前屈運動によって移動する 髄核がどうしても後方に圧力をかけるために、そこが外側に膨れたり、また線維輪が断裂して髄核が脱出したりするのです。

脊椎の後ろ側には脊柱管があり、そこに脊髄神経・馬尾神経が走っていますから、この膨れたり脱出した組織が神経を刺激して、そこに炎症が起こったり、神経が挟まれたりして痛くなるのです。

脊柱の側方断面図

この状態を少し詳しく説明すれば、椎間板の後ろには後縦靭帯があり、そこには知覚神経が豊富に分布しているので、激しい腰痛を生じます。 さらにその後ろには神経根が通っており、これが障害されると根性坐骨神経痛となり下肢痛を生じます。 また脊椎には交感神経も併走しているので、この神経も刺激されることになり、痛みの範囲が広がります。

椎間板ヘルニアの発生部位と神経障害の特徴

ヘルニアによる障害部位

(図を縦にみて、右から下の文章の①②③に対応しています)
第3腰椎と第4腰椎の間 ・腰椎の第4神経根の障害 ・大腿神経痛 ・大腿四頭筋(ももの前の筋肉)の筋力低下
第4腰椎と第5腰椎の間 ・腰椎の第5神経根の障害 ・坐骨神経痛 ・かかと立ちが困難・不能 ・足・足趾の背屈筋(足や足の指を反らす)の筋力低下
第5腰椎と仙骨の間 ・仙骨の第1神経根の障害 ・坐骨神経痛 ・つま先立ちが困難・不能 ・足・足趾の底屈筋(足や足の指を伸ばす)の筋力低下

ヘルニアの起こる部位の違い、膨れ方や脱出の程度などによって、腰椎椎間板ヘルニアの症状はいろいろと異なってきます。 とくに神経根障害は、そのまましびれや麻痺などの障害に直接つながります。

椎間板ヘルニアの症状を、障害されている神経の状態によって、大きく2つのタイプに分類することができます。神経根がどのように障害されているかという点で、神経根圧排型(あっぱい)の椎間板ヘルニア、神経根絞扼型(こうやく)の椎間板ヘルニアに分けることができます。

ヘルニアの型

前屈障害型に含まれる神経根圧排型の椎間板ヘルニア

このタイプはヘルニアが神経根を圧迫して後方に押しやっている。 狭窄を起こしていない比較的広い脊柱管内にヘルニアを生じているので、神経根は後方に押されますが、黄色靭帯や肥厚した骨などによる脊柱管内側からの圧迫はみられません。つまりはヘルニアが神経根を押しているだけの状態になります。

症状としては座ったり、中腰になったり、腰を前に曲げたときに下肢痛があります。 SLRテストにより坐骨神経に障害があることもわかります。 椎間板ヘルニアの神経根症状の重症度の障害の等級はgrade4,5と軽いものが多くなります。 このタイプの椎間板ヘルニアは多くは手術をしないで治すことができます。


後屈障害に含まれる神経根絞扼型の椎間板ヘルニア

このタイプはヘルニアと脊柱管や靭帯などが前後から神経根を挟み込んで圧迫しているタイプです。 これはヘルニアが狭窄した脊柱管内や椎間孔内に生じたもので、神経根は容易にヘルニアと後方の靭帯や骨に締めつけられた形となります。つまりヘルニアと靭帯や骨とで、神経根がサンドイッチされている状態です。

症状としては前屈とともに、腰を後ろに反らした時にも下肢痛があります。また腰や背中がこわばってしまい、 腰を前後に曲げることが難しい、歩くと腰や下肢が痛くて歩けないなどの症状があります。 単純な前屈障害型と比べると不自由さが大きくなるため、多くは比較的早期に手術が必要になります。 椎間板ヘルニアの神経根症状の重症度の障害等級はgrade2,3と重症の例が多くなります。

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